システムエンジニア(SE)は激務なイメージがあり、きつい仕事と思われる方も多いのではないでしょうか。
実際、プロジェクトの締切、技術の移り変わり、クライアントの要望など、多くのプレッシャーが存在します。
ここでは、比較的労働環境に恵まれている社内SEではなく、SIerやSES企業のシステムエンジニアの実情について、SEの仕事がきついと言われる理由を筆者の経験も交えつつ掘り下げていきたいと思います。
長時間労働の実態
システムエンジニアとして働く上で、避けることが難しいのが長時間労働です。
プロジェクトの締切に追われる中で、残業が常態化し、休日出勤も珍しくないことが多いです。
これはプロジェクトのスケジューリングやリソース管理が適切に行われていない場合に特に顕著に見られます。
また、クライアントの要望に応じた修正や追加が頻繁に発生し、予定していた作業時間を大幅に超えることが一因となっています。
長時間労働はエンジニアの健康を蝕み、モチベーションの低下や生産性の減少を招く恐れがあるため、労働環境の改善が必要になってきます。
現在は大手のSIerや一次受けがメインの会社であれば、以前より労働環境はかなり改善されているようですが、私がSIerで働いていた時は残業は当たり前で、月100時間の残業が数か月続くこともありました。
ある日突然出社できなくなる同僚も多数いました。
プライベートと仕事のバランス
システムエンジニアにおけるワークライフバランスの崩れは深刻な問題です。
長時間労働が常態化することで、家庭やプライベートの時間が確保できなくなり、精神的・身体的なストレスが増大します。
このような状況は、仕事の質にも影響を及ぼし、クリエイティブな思考や問題解決能力の低下を招く可能性があります。
フレックスタイム制の導入やリモートワークの推進など、仕事と私生活のバランスを取りやすい環境も増えていますが、コロナの終息と共に以前の環境に戻ってしまった企業もたくさんあります。
夫がSEの友人(専業主婦)がいますが、やはり長時間労働なのを嘆いていました。システムリリース等で休日や夜間に出勤することも多く、特に子供が小さいご家庭は家族にも大きな負担がかかってしまうようです。
休日や夜間の仕事が多く、本当に仕事しかしていない状況でしたが、奥様に不倫を疑われてしまった同僚もいます。
案件の急な納期変更
クライアントの急な要望変更や新しいビジネスチャンスの迅速なキャッチアップが必要とされる中で、システムエンジニアは案件の締切り変更に直面することがあります。
無茶ぶりも多数・・・
これにより、計画していた作業スケジュールを一から見直さなければならなくなることが多々あり、プロジェクトチーム内でのコミュニケーションコストが増大します。
システムエンジニアたちは、これを緩和するためにアジャイル開発手法を取り入れたり、リアルタイムでの進行状況共有ツールを利用するなどの対策が必要になってきます。
しかも、急いで対応したのに発注元の社内調整がなかなか進まないことも多く、納期を早めた意味がない場合もあるのでストレスはたまる一方です。
技術の移り変わりの速さへの対応
IT業界において技術は日進月歩で進化しており、システムエンジニアは常に新しい技術やツールを習得し続けなければなりません。
新しいプログラミング言語の習得、フレームワークやツールの変化に追いつくことは、時間と労力を要する作業です。
この速いペースでの技術更新は、学習に多くの時間を要し、プロジェクトの進行と並行して行わなければならない場合もあります。
エンジニア個人のスキルセットの維持向上だけでなく、企業としても最新技術への教育やサポート体制を充実させることが不可欠になってきます。
学生時代よりSEになってからのほうが沢山勉強しています。
ミッションクリティカルなシステムの開発
ミッションクリティカルなシステムの開発に携わることは、絶大なプレッシャーを伴います。
たとえば、金融業界や医療分野のシステムは、数秒のダウンタイムも許されないほど社会にとって重要な役割を果たしています。
開発者は高い可用性、信頼性を保証するために、厳格なコードレビューや冗長なシステム設計を行う必要があります。
また、不測の事態に備えた綿密なバックアッププランの策定も求められます。これらの責任の重さが、開発者にとって大きなストレスになります。
金融や航空関係のシステムトラブルをニュースで聞くと、対応しているSEは大変だろうな・・・と思います。
保守・運用におけるストレス
完成したシステムの保守・運用段階でも、エンジニアは大きなプレッシャーにさらされます。
システムによっては、予期せぬエラーや性能の低下に対応するため、24時間365日体制で運用監視を行う必要があります。
また、システムのアップデートやセキュリティパッチの適用時には、新たな問題が発生しないよう細心の注意が必要です。
システムは正常に動いているのが当たり前で、障害が発生した場合、ユーザーからのクレームや要望に対応しなければならないことも、日常的なストレスの元となっています。
残念ながら、感謝されることが少ない仕事だと感じます。
プロジェクトマネジメントの難しさ
システム開発プロジェクトの管理は、その複雑さから大きなストレスとなります。
リソースの配分、納期の管理、チームメンバーの能力と性格の違いを考慮したプロジェクト運営は、システムエンジニアにとってシステム開発より難しい場合もあります。
加えて、クライアントとのコミュニケーションや調整もプロジェクト成功の鍵を握るため、これら全てをうまく管理するスキルが求められます。
品質保証への挑戦と責任
システムエンジニアにとっての最後の砦とも言える品質保証は、多大なプレッシャーを伴います。
バグのない製品を市場に提供するためには、徹底したテストと再テストが必須です。
ただし、100%障害を起こさないことを約束するのは現実的ではなく、どの程度のリスクを許容するかの判断もまた、エンジニアの重大な責務となります。
この過程で見落とされた一つの小さなエラーが、後に大きなトラブルを引き起こす可能性があるため、品質保証に対する責任感は計り知れません。
まとめ
SIerで働いていた時を思い出しながらこの記事をまとめました。現在は社内SEとして勤務していますが、スケジュールの調整もしやすく、長時間労働が発生することもほとんどありません。
SEの仕事がきついと感じる方は、社内SE等のスケジュールの調整がつきやすい環境にで働くことを検討してみることをおすすめします。
経験とスキルをいかしながら、落ち着いて働ける環境が見つかるかもしれません。